317「殺人予告」 令和4年1月

一月十五日、その日もまた私は彼を激怒させてしまいました。彼へのラインを午前中に一度しか送っていなかったからです。彼はこの一ヶ月有給消化で一日中自由にしている私が浮気していないか、他の男と連絡をとっていないかという不安、疑いからノイローゼのような状態になってしまっていました。マンネリ化した夫婦のような関係になりたくない、もっと自分にかまってほしい、自分のことだけを考えていてほしいという気持ちがすごくあるようで、一日だけでいいから彼にラインを何度も送るようにと言われていました。

彼が情緒不安定になっているのは分かっていたのでちゃんと彼の気持ちに答えるつもりでした。ですが、私が仕事中の彼にラインを送ったのが午前中に一回だけだったためお昼の休憩に入った彼から怒りのラインが彼の休憩時間の間にずっときました。それが四回続きました。四日目の時には午前中に二、三回は彼にラインを送ろうと考えていたんですが、妹から父の状態がよくないと、また幻覚や妄想が起こっていると連絡がきたため私も精神的にきつくなり、父に遠隔浄霊をしたり、息子を連れて出かける予定だったため時間にばたばたしてしまい、結局彼への午前中のラインが一度だけで終わってしまい、彼を再び激怒させる結果となってしまいました。

私は一応ちゃんと彼に謝ったもののなぜ午前中一回しかラインが送れなかったのかその理由を全部説明しました。それが彼にとってはただの言い訳でしかなかったようで、余計に彼は激怒してしまいました。今こういう状況で忙しい、今から出かける、そういったことを逐一全部ラインで報告する、そういうことをたった一度でいいからやってほしい、たった一日だけでいいからやってほしい、それが彼の願いだったようです。午前中に二、三回、午後から二、三回彼にラインを送ればそれで彼の気持ちが落ち着くのかなと考えていたんですが、結局それすらできず彼を気違いのごとく怒らせてしまいました。私も彼に対し、「度が過ぎてるよ」とか、「自律神経が乱れてる」などと言ってしまったため、彼を「俺を精神病扱いしやがって」と彼を激怒させてしまったんです。

ですが、その日の夜彼は元々の約束通り我が家へ来ました。許す代わりに一つだけ言うことを聞いてほしいと言われ、何かと聞いたら「俺のラインもメッセージも全部消してほしい」と言われました。理由を聞くと、「こんなものを人に見られたらださいから。もし別れたあと証拠になるようなものが残っていたら困るから」と彼は言いました。私は素直に聞き入れ、彼に自分の携帯を渡し、彼に彼とのこれまでのラインのやり取りとショートメールをすべて消されました。彼が自分のしていることがださいことだと思っている、そのやり取りを全部消してもらいたいと純粋に思う気持ちは理解できます。一方で、もしかして彼は彼とのやり取りの証拠を全部消したうえで私と息子を殺す気なんじゃないかとも思いました。そのあと、寝室で寝る直前彼は息子に「俺、人を殺したことあるんだよ」と言っていました。あとで「冗談だよ」と言ったそうですが、私はその言葉は聞いておらず、子供に何を言っているんだととても驚きました。そのあとには「明日は山で裕美さんと○○(息子)と○○ちゃん(妹)と○○(甥っ子)を殺せるな」と言いました。「本気にしてないでしょ」と少し不気味に笑って言いました。元々その次の日の日曜日は妹と甥っ子も一緒に高千穂峰に登山に行く予定だったんです。機嫌を悪くしている彼がなぜ快く次の日の山登りに行くと言ったのかが若干不思議ではあったんですが、彼は私達四人を山で殺そうと考えていたのかもしれません。

本当に殺すつもりだったのか冗談だったのかも分かりませんが、いずれにせよ彼の心の中は悪魔モードになっていました。こんな恐ろしい発言をする人とお付き合いしていることに私ももうそろそろ精神的に限界が近づいてきました。彼は善人の時と悪魔のような時と極端に変わります。誰だってお腹の中には副守護神がいるので腹を立てれば憎い、殺したい、死んでほしい、そういった感情を持つことはあると思います。副守護神の力が強いほどその感情は恐ろしくなると思います。ですが、普通の人はそういったことを心の中で思っていてもあまり口には出さないものだと思います。彼の恐いところはその恐ろしい感情をそのまま口に出して言うところです。彼は私に対し「俺のことを精神病扱いしやがって」、「何回同じことを説明してお願いしても一度もそれをやってくれない」と怒りに満ちていたんだと思います。彼は自分が侮辱されるとものすごく怒ります。明日は絶対に三人を守らなければと思いました。

その日彼は「俺は愛着障害だ」と少し悲しげに言いました。彼はとても寂しがりやな人です。幼少期に母親からの愛情が足りていなかったのかもしれません。彼は「小さい頃夜によく一人で家にいた」という話をたまにします。彼の両親は共働きだったようですが、夜遅くまで親が家に帰ってこないというわけではなく、夕方には彼のお母さんはちゃんと家に帰ってきていたんです。お父さんも家におらず、お母さんが妹を連れて夜自治会などの集まりに行って一人で留守番をした時など寂しく恐い思いをした時の記憶が頻繁に思い出されてしまうんだろうと思います。彼の人格には幼少期からの寂しさも関係しているようです。彼を助けてあげたいです。