318「高千穂峰で」 令和4年1月

一月十六日、彼と息子と妹と甥っ子と五人で高千穂峰に登山に行きました。朝拝で「山で彼に殺されませんように。彼がおかしなことをしませんように」とメシヤ様にしっかり祈り出発しました。霧島へ向かう移動中、コンビニに立ち寄りました。その時車の後ろで彼が自分のリュックを開いた時に息子が「なんでナイフがあるの?」と言いました。どうやら彼はサバイバルナイフを持参していたようです。元自衛官の彼は遠征で何度も山登りをしていたため、サバイバルナイフを持参して山登りをすることは彼にとっては当たり前のことなのかもしれません。ですが私にはそのナイフで私達を殺すつもりなんじゃないかと思え恐怖でした。

高千穂峰の麓には霧島神宮古宮址があります。そこでもしっかりと無事を祈り山登りを始めました。山を登りだしてすぐに考えたことは彼が妙なまねをしないよう彼に謝り彼の機嫌をとることだと思いました。息子と妹と甥っ子の三人が山を登っていく後ろで私は彼の腕を掴み、彼に「昨日はごめんね」と謝ることから始めました。彼は「今頃?百年遅いわ」と言いました。前日にも私は謝ったつもりだったんですが、彼には届いていなかったようです。そのあともずっと彼の機嫌をとりながら山を登りました。

四歳の甥っ子も自分の足でどんどん山を登っていたんですが、途中目に土が入ったり、耳が痛くなったりして泣き出し、自分では歩けなくなり妹と彼が交代でおぶって山を登りました。山頂まで登りたかったんですが霧がすごく、自分たちが登り始める前に早くに登山を終えて帰って来た人やすれ違う人達から「今日は風があるから御鉢までがいい」という情報を得ており、その御鉢と呼ばれる火山火口まで来た時に甥っ子がもう帰りたいと泣き出したため、その御鉢から引き返して山を下りました。下りは彼がずっと甥っ子を抱っこして下りてくれました。抱っこ紐もないのに彼は急な斜面の高千穂峰を甥っ子を片手で抱っこしながら下りてくれました。とても頼もしかったです。彼が妙なまねをするということもなく無事に登山を終えました。そのあとは霧島の温泉に入ってから帰りました。

彼に殺されるんじゃないか、息子と妹と甥っ子をどうにか守らなければという不安を抱えながらの神聖な山への登山となりましたが、無事に帰ってこれて本当によかったです。前日の彼の恐ろしい発言は本気だったのか、それとも脅しだったのか、それとも冗談だったのかは分かりません。とにかく彼を怒らせると彼は悪魔モードになるということだけは確かです。