234「新たな恋」 令和2年4月

世間が新型コロナウイルスで騒いでいる真っ只中私は失恋と新たな恋を経験しました。私が長く想い続け運命の人だと思っていた人が結婚していたことが分かったのが三月の上旬のことでした。ですが、それでもやっぱり私は彼のことを忘れることができませんでした。ですが、ちょうど私の父の誕生日でもある三月二十九日、彼のラインを見てみたらホーム画面が生まれたばかりの赤ちゃんの写真になっていました。子供ができていたのかととても驚きました。ですが、私はその赤ちゃんの写真を見て純粋に可愛いなと思えついに彼への想いを絶つことができました。

それからわずか六日後の四月四日のことでした。仕事を終え子供を学童に迎えに行き、子供が一緒に買い物に行くことを嫌がったため、いったん子供を家に連れて帰り、それから一人でスーパーに買い物に行きました。そこで四年前に同じ職場で働いていた男性に偶然会い、彼から連絡先を聞かれました。私は昔から男の人に簡単に番号を教えたりとかは絶対にしたくないという考えだったので困ったなと思いましたが、断るのも失礼かと思い番号を教えました。

その日の夜から彼とはラインのやり取りが始まりました。話の内容にもよりますが、私は人におちょくられるのがとても苦手です。男の人は気になる女性におちょくるようなことを言う人もいますが彼は私をおちょくるようなことは一切言わず、素直に自分の感情を伝えてきました。ここ数年私も男性からおちょくられることがあり、かなり不快な思いをしてきていたので、彼の真っ直ぐな言葉はとても新鮮で男らしさを感じ、ラインのやり取りだけで彼にとても惹かれました。彼は私よりも八歳年下でしたが、年齢のことも気にならないと言ってくれ、彼自身が自分が子供だと気にしていたようで、年齢のことをとても気にしていた私の不安もすぐに打ち消してくれました。

ラインのやり取りを始めて一週間経った週末、彼と食事に行きました。男の人と二人で初めての食事に行くことが十五年ぶりのことだったので緊張しました。ラインのやり取りだけでも彼にとても惹かれていたのに会ったらもっと彼に惹かれました。食事を終えて家に帰る際も彼と離れるのが寂しいと感じました。彼も私に夢中になってくれているのが分かったので、私の心の内を早く話さなければと思い次の日にラインで伝えました。その内容は自分は彼氏という存在はいらない、最初から結婚前提でないとお付き合いはできない、籍を入れるまで関係を持たない、結婚の際はできれば姓をこちらの姓にしてほしいという内容です。こんなことを受け入れられる男性なんてめったにいないだろうとは思います。ですが、いくら好きになった相手でも私はこの条件を受け入れてもらえないと前に進むことはできません。

彼はその内容にとても戸惑ったと思います。彼は私と同じバツイチで離れて暮らす子供もいます。離婚後に五年間同棲していた彼女もいたようです。彼はこれまでの経験で結婚にはかなり慎重になっているようで、私の結婚観とは全く違っていました。私は結婚していた時夫の実家の問題でうつ病になりました。そして、私から見ると異常なほど親思いの夫に精神が崩壊するほど苦しめられました。精神がぼろぼろだった時、彼から「親は裏切れんけん」と言われた言葉に一生忘れることができないぐらい傷つきました。いろいろと問題が大き過ぎたので別れることはしかたなかったんですが、奥さんである私より最後の最後まで親のことを一番に大事にする彼に本当に傷つけられました。私はもう二度と同じ目には合いたくありません。結婚に対して怖いと思う気持ちもありますが、かといって結婚を考えない軽いお付き合いなんて絶対にしたくありません。ただ好きになっただけで体の関係を持つような不純なこともしたくありません。愛をちゃんと形で証明してもらってからでないと受け入れることはできません。

結局彼とはそのラインのやり取りで終わってしまいました。本気で好きになってしまったので寂しくてしかたありません。かといって自分の信念を曲げるつもりはないのでどうしようもありません。今までの経験上私は好きになったばかりの彼のことをこれから一、二年ぐらいは想い続けてしまうかもしれません。彼に大切な人ができ彼が幸せを掴んだ時には私もきれいさっぱり彼のことを忘れられればいいなと思います。