237「うつ病の女友達」 令和2年6月

六月九日になりました。四月下旬からお付き合いが始まった彼とはすでに別れています。この二ヶ月間は目まぐるしいほどいろんなことが起こりました。

彼とお付き合いを始めたものの私は籍を入れるまで体の関係を持たないという信念は変わっていませんでした。夜に彼が会いに来てくれていましたが、家にはあげたりせず、息子も一緒に車の中でおしゃべりをする日が何度か続きました。ですが、私がその意志を貫くならお付き合いは続けられないと言われ悩んだあげく自分の信念を曲げることにしました。

私が彼とのお付き合いが始まってからも彼は毎日うつ病の女友達と電話でしゃべっていたようです。その女性は二人の子供がいる私と同じシングルマザーです。うつ病で仕事はしておらず、障害者年金をもらって生活しているそうです。いつも薬を飲んで寝ているそうで、その女性が眠るまで彼はいつも電話で話し相手をしているそうです。そして、その女性が眠ったあとも電話の切れた音で目を覚ましてしまうなどの理由でずっと電話を切らずにいるそうです。電話もスピーカーでしゃべっており、その女性が薬を飲んで眠りについたあとその女性の保育園に通う子供がぐずって泣き出すことがあるそうで、あまりにそのぐずり方が酷い時にはその女性の家に駆けつけ子供を寝かしつけてあげるそうです。そして、その女性の二人の子供も彼に懐いているため週末はその親子と一緒に過ごしたりしているそうです。

その話を聞くだけでも彼のやっていることはもうただの友達という関係とは思えません。そういう関係の人がいるのになんで私を口説いてきたのかと信じられない思いでした。必要以上にその女性に優しくしすぎるせいでその女性も彼と付き合っているつもりでいたようです。ですが、彼にはその女性への恋愛感情はなく、彼は本気で私のことを好きになってくれたようです。私が彼と付き合い始めて一週間経った時に体調の悪かった彼の家にその女性と子供達を家に泊め、その女性に家のことをしてもらっていたという信じられない出来事が起こりましたが、それも彼がふだんその女性に必要以上に優しくし、付き合っていると思い込ませていた結果起こった出来事だったんだと思います。

彼が夜私の家に泊まった二度目の時だったと思います。彼はその女性と縁を切ってきたと言いました。ですが、夜中彼の携帯には何度も着信が入っていたようです。次の日にその女性の子供と電話で話し、その女性が大量の薬を飲んでいたことが分かりました。命に別状はなかったようですが、その話を聞いて私もとても驚き心配しました。一番驚いたのは彼だったと思います。自分の好きな人から縁を切られ電話にも出てもらえず不安になるとうつ病で男に依存する人間はそんな恐ろしい行動に出るんだということを私も間近で知りました。その女性は死のうとして大量の薬を飲んだわけではないようです。いっぱい眠るつもりで大量に薬を飲んだそうです。今までにもそういうことがあったそうで、その女性の小学生の子供も母親がたくさん薬を飲んだ時にはなかなか起きてこないということを言っていたそうです。

そういうことが起こり、彼はますますその女性のことをほっとけなくなってしまいました。そして、私を苦しめてしまうからという理由で私は別れを告げられました。私は私を突き放してまでその女性をほっとけないという彼に嫉妬し苦しみました。そして、付き合っていると思わせるほど必要以上にその女性に優しくしすぎている中途半端な彼にとても腹が立ちました。彼自身も数年前にうつ病になり自殺しようとしたことのある人なのでその女性のことを心配しほっとけないと思う気持ちは理解できるんですが、私に本気だったと言いながらも私を突き放しその女性をほっとけないと言うのは彼がその女性に多少なりとも惹かれているからだと常に思っていました。そして、そのうつ病の女性に対しても同情の気持ちが湧き、彼にその女性とちゃんと付き合ってあげないのかと言ってしまいました。そして、腹をくくり彼はその女性とお付き合いを始めてしまいました。彼への腹いせとその女性への同情心で付き合ってあげないのかと言ってしまったんですが、本当は「そんなことするつもりはない。好きなのは裕美さんなんだ」と言ってほしかったんです。その女性ではなく私を選んでほしかったんです。ですが、彼は私の本音なんて分からず道理を通すと決めその女性と本当に付き合いだしてしまいました。

もう彼とは連絡を取り合ってはいけない状況になってしまったのに、結局私は彼と連絡を取り合ってしまいました。彼がその女性と付き合いだしてから数回彼を家に泊めてしまいました。なぜそんなこんなことをしてしまったかというと、その女性とお付き合いを始めてからも彼はその女性と体の関係を持っていなかったからです。その女性と関係を持たないまま別れると彼も言ってくれたからです。私もいけないことだと分かっていながら地獄に落ちる覚悟で彼を家に泊めました。ですが、彼はその女性に別れを告げた時にその女性が別れを泣いて嫌がり、その時彼もだいぶお酒を飲んで酔っ払っており体の関係を持ってしまったそうです。

私ももう心がぼろぼろになりました。ですが、それでもやっぱり彼のことを嫌いにはなれず、その女性と別れるまで待つと言ってしまいました。ですが、その女性はうつ病です。そして、元々その女性は人に依存するタイプの人です。彼がいくら別れを切り出してもその女性は彼から離れないだろうと思います。そして、思いつめればまた薬を大量に飲んでしまうんだろうと思います。そうなると彼もまたその女性をほっとけなくなるだろうと思います。今の状態ではいくら待っていても彼は私の元には戻ってこないと思い、次の日本気で別れを決意し彼のラインをブロックしました。彼とは出会いから別れまでたった二ヶ月という短い期間で、私が彼とちゃんとお付き合いしたのはわずか十八日間です。その間には想像もしていなかったことが次から次に起こり本当に目まぐるしい日々でした。

本当は私は浄霊でその女性のうつ病を治すお手伝いができます。ですが、その女性は私の恋敵です。私が直接浄霊をお取り次ぎするのは難しい状況にあります。彼にだって神様や浄霊の話はせずに終わってしまいました。泥沼の恋愛をしていては私は神様の御用なんて何一つできなくなってしまいます。心を入れ替えなければと思います。

ですが、彼は本当に真っ直ぐで魅力的な人でした。今から四年前、父にサタンが憑依し、父がとてつもなく恐ろしい精神病となり私が父の攻撃のターゲットにされてから私は性格が一変しました。だいぶ気が荒くなってしまっていて、父に対してだけでなく、他の男の人に対しても上から物を言うような人間になってしまっていました。そんな私の前に現れ純粋に真っ直ぐに向かってきてくれたのが彼です。彼は私に恋愛ってこんなものなんだと教えてくれた人です。彼と出会えたことに感謝しています。今は前向きな気持ちでいますが、やはり私はこれから先も彼のことを思って過ごすかもしれません。彼もまだ私のことを思ってくれているんじゃないかと未練がましく考えるとまた私も彼に連絡をしてしまうかもしれないので、彼のことを考え悲しくなった時には私はその女性に負けた女なんだと自分に言い聞かせ気持ちを落ち着かせようと思っています。彼とその女性が今後どうなっていくのか分かりませんが、彼にも幸せになってもらいたいので遠くから彼を見守っていきたいです。