十一月二十八日、その日また久しぶりに彼と別れの危機になりました。彼にここ二週間ほど深刻に悩んでいた話を打ち明けて、お互いの考えや気持ちが違っていたからです。
私が深刻に悩んでいたこととは児童扶養手当のことです。交際相手がいて月に二回以上の行き来があると事実婚とみなされて児童扶養手当がもらえなくなる場合があるそうで、今年八月、年に一度ある児童扶養手当の申請手続きに行き、たしかアンケート用紙だったと思いますが私は正直に交際相手がいるという方に丸をつけ、会う回数に週に一度と書いたと思います。そのため二週間ほど前に市役所から現状確認の電話がきていたんです。たしかにお互いの家に行き来はしていますが、彼に生活費を援助してもらったりなどは一切していません。そこは市役所の方に強く主張し、今回はこのままでということになりました。
私はうそはつきたくない、不正なんかする気はないという気持ちが人一倍強い方だと思います。こうして自分のことを赤裸々に何もかも書いているので余計にうそなんてつくわけにはいかないという気持ちが強くなります。すぐには結婚はできないと言っている彼と交際を続けていくのなら児童扶養手当をもらわずにその分を自分がたくさん働いて補うか、もしくは彼に生活費を援助してもらうしか方法がありません。そのことをこの二週間深刻に悩んでいました。
そして、それを彼に伝えたところ「三年は結婚できないからね。別れるならもう一切連絡して来ないで」と言われました。彼が婚約を破棄した精神障害のあるメンヘラ女性が彼の職場に何度も何度も電話をかけておかしなことを言ってくるという事件を起こし職場に大迷惑をかけてしまっており、まだほとぼりが完全には冷めていないのに今結婚なんてできるわけがない、上司に何を言われるか分からないというのが彼の考えです。
彼も頭に血が上り私もいろいろ言われ耐えきれず泣いてしまいました。長い時間ずっと涙がとまりませんでした。私は彼のことを運命の人だと思っていますし、彼も私のことを愛してくれています。こんなことで関係が壊れてしまうのはあまりにも辛いです。彼には「次からは市役所には交際相手はいないと言えばいい。そういう決まりは意図的に不正をしている人に向けてるものなんだから」と言われました。交際相手がいながら児童扶養手当をもらっている人はたくさんいるだろうと思います。そして、月に二回以上その交際相手とお互いの家を行き来している人も数え切れないぐらいいるはずです。そういう人達はみんなどうしているんだろうかと気になります。交際相手はいないとうそをついて児童扶養手当をもらっているか、もしくは月に一度だけ行き来があるとうそをついているはずです。
うそはつきたくないと思っている人間がバカを見るようなしくみが日本にはいっぱいあります。働ける体で生活保護をもらってパチンコや競馬に行って遊んで暮らしている人もたくさんいるでしょうし、自営業の人で所得申告など不正をしている人だってたくさんいるでしょうし、法律で許可されていない風俗店で働く人やまたはそういった店に行く人などもいっぱいいます。法律が厳しすぎる、見直すべき法律だっていっぱいあるかもしれません。
人それぞれいろんな事情があるのに月に二回以上交際相手の行き来があれば事実婚とみなされる場合があるというのは厳しすぎると思います。かといって安月給で夫婦共働きで大変な思いをして子供を育て生活している人だって世の中にはたくさんいて、そういう人達からすれば交際相手もいながら児童扶養手当ももらって余裕のある生活をしている人を見れば不快に思ったりもするだろうと思います。私は貯金なんて一切ないんですが、別に貧乏なわけでもありません。好きな物を食べて生きています。雨漏りがして屋根も腐っていて玄関の鍵もかけられない家に住んでいますが今はそれをそれほど苦痛に思っていません。なんとか生活できています。ただ児童扶養手当をもらえなくなれば生活は一変すると思います。今の収入のまま生活を切り詰めていくか、もっと労働時間を長くして稼げる職場に転職するか、今の職場で働きつつ時間のある朝に二、三時間別のアルバイトの仕事をするなど考えないといけません。おそらくそんな状況になれば私はもう疲れ切って彼との交際もうまくいかなくなるだろうと思います。
彼は籍を入れず同棲することを提案してくれましたが、それは私には納得がいきません。子供だっているのに一緒に住んでいながら籍を入れていない関係はだらしないように思えて私にはできません。何かしら理由があって籍を入れずに同棲している人もいるのかもしれませんが、子供がいるので私はちゃんと籍を入れて彼と生活したいです。たとえ同棲をしたとしてもおそらく籍を入れてもらえない関係に私が疲れてどのみち破局すると思います。職場に大迷惑をかけているからすぐに結婚なんてできないという考えならその職場を辞めてくれればいいのにと私は思ってしまいます。ですが、彼はそれは絶対にできないそうです。二回試験に落ちてやっと入れた職場でもあり、収入が安定しているからです。
彼もその精神障害のあるメンヘラ女性との出会いさえなければ精神的にも金銭的にも大変な思いをすることもなかったんですが、それも宿命だったんだと思います。彼は婚約破棄で慰謝料と弁護士費用で百万ほど払っています。そのうち半分は親からお金を借りて払っているため毎月親へ借りたお金を返済していかないといけません。それに彼には別れた奥さんとの間に二人の子供がいて毎月養育費も払っていますし、彼は独身で家を建てているためそのローンの返済も毎月あるため絶対に今の仕事を辞めるわけにはいかないそうです。彼の都合に合わせて結婚を三年も待たされるなんて私には耐えられそうにありません。そう思うのならもう別れるしかないのかもしれません。どうしたらいいのか分からない状態です。
ただもう一つ、彼と向かいあって話をしている時に彼がまたとんでもない発言をしました。イライラしながら別れたあとのことを考えて話していた彼は「女なんてもういらない。俺が真剣に結婚を考えだすと女はすぐ裏切る」「俺また人の肉食べるわ。またカーニバルが始まるわ」と言ったんです。その時やっぱりこの人は本当に人を殺し人の肉を食べたのかと思いました。私が彼に「その話何？本当にやったの？」と聞くと彼は首を横に振りました。まずいことを言ったというような顔はせず平然とした顔で彼は話を続けていました。真実を突き止めたいです。
