276「やっぱり好き」 令和3年5月

五月二日の日曜日になりました。前日の土曜日の夜も彼が口封じに私を殺しに来るというようなこともなく、そして私もそういった不安もなく眠りにつくことができました。私は今でも彼のインスタグラムを見ています。あまりインスタグラムのことは詳しくないんですが、フォローはしていないので私が彼のインスタグラムを見ていることは彼は分からないと思います。

彼が婚約を破棄した女性から調停を起こされた日以来彼はインスタグラムを更新していなかったんですが、その女性もまた精神病院に入院していったんは状況が落ち着いたためか今日久しぶりに彼がインスタグラムを更新していました。長文を投稿していて寂しいのかなと思えました。

私が彼と最後に会った日から一ヶ月が過ぎています。あの時は彼は本気で口封じに私を殺すつもりだったんじゃないかと思います。殺すつもりじゃなかったとしてもポケットからナイフを取り出して「今日は裕美さんが天に召される日だから」などと私を脅してきたので完全に悪魔モードになっていました。この一ヶ月彼に口封じに殺されるんじゃないかと何度も恐怖に陥りながら過ごしてきましたが、彼が私を殺すつもりはどうやらもうなさそうです。ナイフを出して脅されたにも関わらず彼のことを思うと今でもやっぱり恋しくなります。人殺しなんてなんでやってしまったんだろう、なんで人の肉を食べたいと思ってしまうんだろうと考えたら辛くなります。

人を殺すのを得意とする動物霊は狐や龍神などだと思いますが、人の肉を食べたいという欲求は何の動物霊なんだろうかとこの一ヶ月考えたりもしました。この一、二年大ブームだったアニメの鬼滅の刃は鬼が人間を食べるというものでしたが、彼に憑依していたのも鬼だったのかなとも思いました。兇党界の三巨頭は八岐の大蛇、金毛九尾の狐、邪鬼とあります。人を殺すことを得意としているのは八岐の大蛇の部下の龍神系だと思いますが、狐や鬼であっても人を殺すでしょうし、人の肉を好むということにおいては鬼が一番なのかもしれません。

彼のインスタグラムを見ている限り彼が自首する気なんて全くなさそうです。彼は二ヶ月前に新車を十年ローンで買い、納車まで二ヶ月かかるそうでゴールデンウィーク中には届くだろうと言っていました。利子を含めて二百万のローンをこれから払っていかなくてはいけません。そして、彼は少し珍しいタイプの人で、一年半前に独身でありながら一軒家を建てています。三十歳になるまでに家を建てることが彼の夢だったそうで彼はその夢を実現させています。定年するまでローンを払い続けなければいけません。そして、再び入院してしまったものの婚約を破棄した女性との調停で慰謝料も払わなければいけません。家と車のローンは無理のない程度の金額を毎月払っていけると思いますが、慰謝料の金額がどうなるかまだ分からないですし、金銭的な面で彼は今追い込まれていると思います。

一年半前に家を建てたということからしても彼は人を殺し人の肉を食べたことを一生隠し通して生きていくつもりなんだと思います。私が警察に言わないのは証拠がないからということだけではなく彼に情があるからでもあります。少しでも罪が軽くなるように自首してほしいと思っています。自首しても死刑になるかもしれませし、無期懲役で一生刑務所から出られないかもしれません。自首して少しでも罪が軽くなるならやっぱり今でも彼が罪を償って刑務所から出てこれる日まで彼を待っていたいと思ってしまいます。出て来れなくても面会が許されるなら何度でも彼に会いに行きたいです。

ある程度待っても彼が自首する気がないのなら私が警察に言うしかないのかもしれません。ですが、もし警察が半信半疑で彼に近づき彼を捕まえることができなければ私は彼から恨まれ一生命の危険にさらされながら生きていくことになるかもしれません。それを考えると下手に警察に言うこともできません。私が警察に言って、もし証拠が見つかったり彼が犯罪を認めたとしても私が彼に恨まれることには変わりはないかもしれません。

彼は私の母性本能をくすぐるのが天才的に上手い人でした。彼のことはこれから先もずっと好きでい続けるかもしれません。こんなに好きになってしまった人が人食い殺人犯だったなんて本当に辛いです。今毎日メシヤ様に彼の身魂を救っていただけるよう祈っています。彼への遠隔浄霊もしっかりやっていこうと思います。