174「運命の人」 平成30年12月

十二月二十三日はメシヤ様の御降臨祭でした。私が先達をし、息子と妹と妹の子供と四人で十一時から参拝をしました。参拝が終わったあとは急ぎ準備をし仕事に行きました。その日は日曜日で、通常日曜日は休みをもらっているんですが、その日は職場が人手不足だったため妹に息子の面倒をお願いし、十二時から十五時までの三時間だけ出勤しました。その日、仕事を終え家に帰ってから息子を連れて夕方出かけました。ぶらぶら買い物をしている時に自分の運命の人のことを考えていました。その時に気づきがあって相手が分かったんです。

今までにもう何度も起こっているこの気づきは私の正守護神からの合図なんじゃないかと思っています。私の運命の人の合図というのはその日が二度目のことでした。一度目はそれより一ヶ月ちょっと前の十一月十一日に起こりました。私の恋愛に関することで守護神からの合図があったのはその時が初めてのことだったんですが、その時は合図はあったものの私の運命の人というのが私がここ数ヵ月気になっている人のことなのか、それとも他に別にいるということなのか全く分からなかったんです。十二月二十三日に二度目の合図が起こり、そして、その二日後の十二月二十五日に三度目の合図が起こりました。もうこれは間違いないんだと思いました。自分の運命の人が確実に分かったわけですが私の気持ちは複雑でした。

私の恋愛話なんて他人にはどうでもいいことではあると思いますが、私の恋愛話をもっと詳しく書こうと思います。私には一年半ほど前から好きな人がいます。私が好きな人というのは妻子持ちの人です。好きになってもどうしようもない人を好きになってしまい、当然想いを伝えることもなく、せつない思いをしながら一年半の歳月が過ぎています。私に好きな人ができた頃と同じ頃実は私は同じ職場のある男性から好意を持たれ勤務中にも関わらずよく口説かれていました。他の従業員もいる中で堂々と言ってくるので軽い人なんだなと思っていましたし、なんせ私には好きな人がいるので、ことごとく彼の言葉をかわしてきました。そして、彼は喋りだしたら話が止まらなくなります。私は飲食店で働いているんですが、店にお客さんがいるにも関わらず彼はお客さんに聞こえてしまうぐらいの声で下品なことをよく言うので、一緒に働くこっちがいつも不快な思いをしていました。そして、彼は勤務中にしょっちゅうキレていました。すぐキレる彼のことが私は大嫌いでした。彼とは四ヶ月ほど一緒に仕事をしましたが、彼が別の店舗に異動になり、彼に会うこともなくなりました。

それから九ヶ月経った今年の七月に彼が私が働く店舗に異動になりまた一緒に働く機会がありました。彼は二ヶ月ほどでまた異動になり、元いた店舗に帰って行きました。その間私が彼と一緒に働いたのはわずか四、五回程度でした。彼は八月頃に彼女ができたそうですが、それにも関わらず勤務中に私に「裕美さんが好きだから」と背後から小声で言ってきました。ふざけているのか何なのかも分からず私は聞こえなかったふりをして無視しました。

一年前一緒に働いていた頃は本当によくキレる人だったので大嫌いだったんですが、別の店舗に行ってだいぶしごかれたようで彼は仕事中にキレるということがだいぶなくなっていました。そして、八月に一緒に仕事をした時に私は彼に一瞬ときめいてしまいました。六月から飲食店の仕事を二つ掛け持ちでやっていた私は八月にはその彼のいる方の店を辞めることにしていました。彼からなんで仕事を辞めるのかと心配そうに聞かれた時に今まで見たことのなかった彼の穏やかで優しい雰囲気に一瞬惹かれてしまったんです。その時から私は彼のことが気になるようになってしまったんです。

ですが、彼にはもう彼女がいるようですし、彼は私より六歳年下で、彼の新しい彼女は私より一回り以上年が離れています。私はバツイチの子持ちのおばさんですし、仮にその彼が彼女と別れたとしてもその彼女と何もかも比べられそうで恐ろしいです。それに私にはバツイチの子持ちのおばさんというハンデだけではなくそれよりもっと大きな悩みがありました。それは、私の顔に痣のように色素が茶色になった皮膚病があるということです。それができたのは今から十年も前ですが別れた前の夫は私と結婚してくれました。ですが、茶色の痣は十年前よりもっと広がっています。ちょうどあごのラインにあるので私より二十センチ近く背が高い彼はそれに気づいていなかったのかもしれません。その痣もただ茶色になっているだけならそこまで目立ちはしないんですが、茶色の痣の内側に本来の肌の白い色素が濃縮された状態になっており見た目は酷いです。私に再婚したいという願望があってもそれが治らない限りとてもじゃないですが自分に自信が持てません。

そして、もう一つ大きな悩みがありました。その頃また過敏性腸症候群のガス漏れが起きていたんです。自分では一切おならなんてしていないのに勝手に自分の体からおならのような臭いが出ているというあまりにも辛すぎる病気が再発してしまっていたんです。職場でも何度もガス漏れが起こっていたので、職場の人にも気づかれていたと思います。なので、とてもじゃないですが頭の中が恋愛モードになっている場合ではありませんでした。
 
新たに気になり出した彼がまた元いた店舗に帰ってすぐの九月上旬に今度は一年半前から想いを寄せていた人と三ヶ月ぶりに顔を合わせました。その人も仕事の関係者です。せっかく姿を見ることができたもののその人の前でもガス漏れが起きてしまいました。最悪でした。やっぱり私の頭の中は恋愛モードになってる場合ではありませんでした。それに三ヶ月ぶりに姿を見ることができたもののその人には奥さんがいるので嬉しさもありましたがそれ以上にせつなくなりました。ガス漏れは自己浄霊で十月の終わり頃に治りました。もっと早くに自己浄霊をしてガス漏れを治していれば職場でも何度も恥をかかずにすんだのに自己浄霊を怠っていました。

父の問題も解決しておらず、顔の皮膚病だって治ってないのに私の頭の中はすぐまた恋愛モードになり、二人の男性のことが気になっているという状況に陥りました。そんな状況の中、十一月十一日、八月から気になりだしていた彼に後ろ姿がそっくりな人を見かけました。その彼は元々私に何度も言い寄ってきていた人ですが、もう彼女がいるようですし、もしかしたらその彼女を妊娠でもさせてそろそろ結婚でもするんじゃないか、彼のことはもう忘れよう、私にはきっと他に運命の人がいるかもしれないとそう思った直後に守護神からの合図がきてお腹が痛くなって下痢をしたんです。私はどっちの意味での合図だったのかが全く分かりませんでした。普段守護神から合図がくるのは自分が思ったことに対してきます。私はその時運命の人は他にいるんだと思ったわけなので、そういうことだという意味での合図だったのか、それともその彼が私の運命の人だという意味での合図だったのか、結局どっちなのか全く分からなかったんです。

私は八月には元々働いていた方の職場は辞めるつもりでいたんですが、結局辞めずに週に一回だけそちらの方でも働いています。私が一年半前から想いを寄せている人は上の役職の人なので、三ヶ月に一度くらいしか店に来ません。十二月に入りそろそろ来るんじゃないかと楽しみにしていたら私が一度も出勤していなかった最初の週に三日間指導のため来店していたようで、会えなかったことにものすごくショックを受けました。それからはまた毎日のようにその妻子持ちの人のことを考えるようになりました。ですが、私は不倫なんてするつもりは全くありません。もしも私が不倫をするようなことがあれば私は即刻罪の制裁を受けて命を落とすことになるだろうと思っています。不倫は絶対にしませんが、もしも、万が一その人が奥さんと別れるようなことがあれば私にもチャンスがあるんじゃないかという気持ちはどうしても捨てきれずにいます。

十二月に入ってからはまた妻子持ちの人のことばかり考えていたのに、メシヤ様の御降臨祭の日である十二月二十三日に私の運命の人は○○(独身の方)なのかと思った直後にお腹が痛くなって下痢をしたんです。そして、またその二日後のクリスマスの日にもまた同じことを考えていたらお腹が痛くなって下痢をしたんです。三度も合図があったんだからこれはもう確実だろうと思いました。ですが、一年半も想いを寄せている人のことをそう簡単に忘れることなんてできないのでとても複雑な気持ちでした。

二、三日複雑な気持ちではあったものの私は独身の方の彼のことも気になる存在ではあったので、妹の後押しもあり、十二月三十一日の大晦日に彼がいる店に食事をしに妹と子供と一緒に行ってみました。そしたらなんと彼は職場を辞めていました。二ヶ月前に彼がお客さんからのクレームがあって社員から準社員に降格したことは聞いていましたが、彼はお客さんからたびたびクレームを受ける人なので結局異動命令まで出されたようでとうとう仕事を辞めてしまったそうです。勤務中にキレることは少なくなってもおしゃべりだけはどうにも治らず、カウンターでお客さんの前で調理をしながらもいつも独り言を言っていたそうです。彼が仕事を辞めていたことにもその原因となったことにもとても驚きました。

彼が職場を辞めていたのでさらに私は彼との接点もなくなったわけですが、その日さらに驚くことがありました。別行動で買い物をしていた妹に携帯で電話をかけたはずなのになんと間違えて私は妻子持ちの上司に電話をかけてしまっていたんです。電話の履歴画面から妹の携帯に電話をしたはずなのでその人の方に電話がかかるなんてありえないのにとても不思議なことが起こりました。私からの電話にその人は出ず、五分後に折り返し電話がかかってきたので、間違いだったことを伝え謝りました。ハプニングではありましたが、一年の最後の日に一年半想いを寄せている人の声が聞けたことに驚きと嬉しさがありました。このハプニングは神様からのお恵みと受けとめていいのか、それとも邪神のいたずらだったのかが分かりません。私の運命の人が決まっているのならこのハプニングは邪神のいたずらだったということになるのかもしれません。結局また私の心は二人の男性の間で揺れています。