32「再び龍神の憑依」 平成29年1月

一月十日、父がこれまでで一番酷い暴力を振るってきました。また龍神による発狂だったんだと思います。その日は朝から父の機嫌が悪く、私も父に対しそっけない態度をとっていました。夕方私が自分の部屋の電気を点けっぱなしにした状態で台所で料理をしだしたことにもかなり腹を立てていました。そして、六時半頃私が一人で夕拝をし御教え拝読をしていたところ、飲み屋さんから帰って来たところだったのかそれまで外で作業をしていたのかは分かりませんが私が御教え拝読をしていることに腹を立て、「お前が御教えを読んだってお前には意味が理解できないんだから、お前が御教えを読んだって何にもならん」と父が窓の外から怒りをつぶやいていました。こんなセリフは日常茶飯事言われていましたが、機嫌の悪い父に聞かれてしまいしまったなと思いました。しばらくして父が家の中に入ってきました。一人でお風呂に入ることができるようになっていた息子がお風呂に入ろうと洗面所で服を脱いでいる時に、私が洗面所にいると思ったのか、父が勢いよく洗面所の戸を開け、驚いた息子が私のそばへ走ってきました。そして、父がものすごい剣幕で私の方へ向かってきて何度も唾をかけてきました。頭にきた私は父に唾をかけ返しました。そして父が私に掴みかかってきてそのまま戦いが始まりました。

ものすごい勢いで髪を引っ張られ、頭を殴られ目の前にバチっと青い火花が見えました。そのまま縁側まで引きずられ倒され髪を引っ張られながら頭を足でぐいぐい踏みつけられました。電気もついていない暗い縁側で頭を踏みつけられ何も見えず、全く身動きもとれず、呼吸も苦しくなりました。何で息ができないんだろうと思ったら私が着ていたオフタートルの服の襟を私の顔の上まで引っ張られていて呼吸ができないようにされていました。私を本気で殺す気かと怒りがこみ上げました。襟はなんとか首元まで戻し息はできるようになったものの一向に足をどかさず、頭を足でぐいぐい床に踏みつけられ、髪も引っ張られ続けました。暴力を振るわれながらもこんな目にあうのは自分が悪いからなんだろうかと考えがよぎりました。「私が悪いんでしょうか。メシヤ様助けて下さい」と必死にメシヤ様に祈りました。

父が私の顔を掴もうとして父の手が私の口元に届いたのでチャンスとばかりに父の指に噛み付きました。指を噛み千切ってやろうと思いましたがすぐ離されました。さらに腹を立てた父はそのままぐいぐい私の頭を踏みつけ、髪を引っ張られ続けました。そしてようやく父が私の頭から足をどかし起き上がると、父は今度は私を挑発するためにわざとやったのか、それともさすがにやり過ぎたと思ったのか大の字になって床に寝て「殺せ」と言ってきました。私は足で父のお腹をおもいっきり踏みつけるか私がされたように足で父の頭を踏みつけてやろうかと思いましたが、無抵抗の状態の父にそんなことはできませんでした。

私の怒りが収まらないままそのあとまた父が怒鳴ってきたので、父の顔を力を込めて三回平手打ちしました。そしてまた父が掴みかかってきて二度目の戦いが始まりました。戦いといっても力では敵わない私が一方的に暴力を振るわれるだけです。頭を掴まれまた目の前に青い火花が飛びました。そしてまた暗い縁側で倒され頭を足で踏みつけられ、髪を引っ張られ、服の襟を呼吸ができないように顔の上まで引っ張られました。服はすぐ離され息はできたものの頭は踏みつけられ髪も引っ張られた状態がしばらく続きました。息子は裸のまま泣きながら懸命に私を助けようとしてくれていました。「僕泣いてるよ」と言って父の暴力を止めようとしてくれていました。父は息子の言葉にも耳を貸さず、勢いも止まらず、私は「メシヤ様助けて下さい」とまた何度も祈りました。なんとか隙を見て父を蹴って立ち上がることができ、息子に服を着させ、父がストーブの上に用意していた水がたっぷり入っていたやかんをぽいっとじゅうたんに投げ捨て、「さようなら」と言って息子を連れて家を出ました。父のやったことは人間のくずどころではない、くず以下だなと思いました。次に父の顔を見た時には「あんたは生きる価値があるのか」と言ってやろうかと思いました。

ものすごい勢いで暴力を振るわれたものの怖さはなく、自分に力がなく思うように反撃できなかったことが悔しくてたまりませんでした。半殺しにしてやりたかったという思いでした。足で踏みつけられた左側側頭部と髪を引っ張られた右側側頭部が腫れて痛み、殴られた時に自分の上の歯で下の歯を痛めました。歯が歪んでしまったんじゃないかと思うほど痛みました。顔や首も父の爪で引っかかれました。家を出たものの行くあてがなく、私は車も持っていないので歩いてファミレスに向かいました。息子に怖い思いをさせてしまい息子の精神面が大丈夫かととても不安でしたが、息子には「お母さん負けたね。強くなってね」と言われました。戦いごっこが好きな息子の男の子らしいセリフだったので、少し安心した気持ちもありました。歩く途中息子が転んでしまい手をケガしたので抱っこして歩いていると、息子が夜空の月を指差して「お月様がお母さんのこと大好きって言ってるよ」と言ってくれ、かわいいことを言うなぁと少し心が和みました。

ファミレスまで一時間かかって歩き、仕事を終えた妹と連絡を取り、家に帰って父の様子を見てから迎えに来てもらうように頼みました。父は一人で大発狂して、台所の棚を倒しお米や物も散乱し、茶碗も投げて割っていたようでした。お米に唾もかけていたと妹が言っていました。普段父が暴れる時には力の強い妹は余裕で父を押さえ付けることができるんですが、その日は妹もつき飛ばされたと言っていました。妹がファミレスに迎えに来てくれた時にはもう息子も私の膝で寝ていました。妹にはまた家を出た方がいいんじゃないかと言われましたが、私が家を出たところで父の精神病が治るわけでもなく、私が家を出れば妹の負担もきっと大きくなるだろうと思います。何より必ず父の精神病が治る日が来ることを私は信じていたので、妹にがんばろうと話をしました。息子には父が発狂する姿や喧嘩する姿を何度も何度も見せてしまって本当にかわいそうな思いをさせてきましたが、いつも笑顔で息子を抱きしめることだけは欠かさずにいました。夜十一時半頃家に戻ると父は精神状態はだいぶ落ち着いていましたが、ぶつぶつ私の悪口を言っていました。

次の日、朝起きると身体中に痛みがありました。頭を触ってみると側頭部だけでなく頭全体あちこち痛みがありました。とんでもなく凶暴な攻撃を受けたのに重傷にはいたらなかったことは御守護だったと思います。私はもう父の顔を見たくなかったので、息子を幼稚園に送り出したあと父が起きてくる前に家を出ました。私は年末の短期の仕事が終わってから仕事をしておらず、次の仕事が一月末からと決まり、仕事を始めるまでの期間日中私が家にいて携帯ばかり触っていると父も機嫌を悪くするので父に私の姿をなるべく見せないようにしようという思いもありました。