84「ごみステーションのトラブル」 平成29年11月

十一月二十三日、その日父は六日ぶりに大発狂し、また庭に出て大声で叫びました。六日ぶりの大発狂といっても前回の発狂は廃人のような姿の人霊による発狂でしたが、その日の発狂はまたいつものように動物霊による発狂でした。

その日は祝日で、私は夕方から息子と出かけ、帰ってきたのが夜九時前でした。私が家に着いた時父はすでに発狂していて、家の中で大声で叫んでいました。私が家の中に入るなり父は庭に出て行き、また近所の方のことを大声で叫び出しました。その内容は地域のごみステーションのことでした。「俺が一人で運んだんじゃないですよ。四人で運んだんですよ」などといつも父が名前を出す近所の方に対して叫んでいました。私も父を家の中に入れるため急いで庭に出ました。そして、父がその近所の方の家の方向に向かって大声で叫んでいる姿にあまりにも腹が立ったので、後ろから父の右肩辺りをおもいっきり叩き、父に文句を言いました。すると、父は激怒し私に掴みかかってこようとしました。私は急いで家の中に逃げました。そして父も私を掴まえるために家の中に入ってきました。そして、またいつものように怒鳴り狂いながら私を追いかけてくる父から家の中を逃げ回りました。

父があいかわらず妄想のめちゃくちゃなことを言って私に暴言を浴びせてくるので、腹が立ち文句を言ったため父はさらに発狂し、「俺はおまえを殺して刑務所に入ったほうがましだ。のこぎり持ってきて殺してやる」と言い、倉庫からのこぎりを持ってきました。前回も私を殺すと言って庭でスコップを首に突き付けられましたが、前回の時は父がよろよろしていて顔も姿もまるで老いぼれた廃人のようで力もない感じが目に見えて分かり、時間もまだ夕方で明るかったので逃げなかったんですが、今回はいつものようにものすごい勢いがあり、本気でのこぎりを振り回してくる可能性があり、夜で目も見えにくいので近づいたら危険だと思い外に逃げました。父はしばらく庭に出て大声で叫んでいましたが、二、三分後にはのこぎりを倉庫にしまい、家の中に入っていきました。

私は発狂する父に今までに三度メガネを壊されています。メガネをつけたまま発狂する父と掴みあいになると必ず父はメガネを壊そうとしてくるので、父が発狂しだしたら私はメガネを外すようにしています。乱視と近親が酷いので、メガネを外すと昼間でも見えにくいのに夜だとなおさら見えにくくなります。そんな状態でのこぎりを持つ父に追いかけられたら敵わないと思い外に逃げました。私の最初の体験談にも書いていますが、そもそも私の視力が悪くなったのは中学三年の時で、その原因は父にあります。

父が家の中に入ってしばらく経ってから私も家の中に入りましたが、それからはもう父も落ち着いていました。父が近所の方のことを名前を出して大声で叫ぶ原因の一つが、あるトラブルが関係していたことがその日分かりました。我が家は車庫はあるんですが物置きとなってしまっており、家の前の空き地に車を止めさせてもらっています。その空き地の前にごみステーションが置いてあるんですが、その空き地の地主の方の許可もなく勝手に空き地の前にごみステーションを別の場所から移動させたのがどうやら父だったようです。我が家の土地でもないのに父が勝手に空き地の前にごみステーションを移動させることを主導したのかもしれません。その空き地の管理を任されているのが共用で空き地を借りている父がいつも名前を出して大声で叫んでいる近所の方です。空き地の前にごみステーションを移動させたのはもう何年も前のことです。そのことで父がその近所の方に注意を受けたんだと思いますが、その頃すでに統合失調症になっていて常識はずれのことをしていた父には自分の身勝手な行動、身勝手な考えが自分で理解できていなかったんだと思います。その近所の方に注意を受けたことを根に持っていて、そのことをその日は大声で叫んでいました。以前にも父がごみステーションのことを持ち出して大声で発狂していたことはあったんですが、その時は私は父が言っていることの意味がよく分からず、父がごみステーションの件の元凶だとは思ってもいませんでした。

空き地の管理を任されているその近所の方からは「勝手にごみステーションを置いているから地主の方が怒っているんですよ」と話をされたことが以前に二度ほどあったんですが、そのごみステーションは我が家が所属している班とは別の班のごみステーションなので、私はそれが父が関係しているとは思っていなかったため、その方がなぜ私にそんな話をしてくるのか不思議に思っていました。相手の話の意味をよく理解できていなかった私の頭もそうとう鈍いですが、今回やっと理解できました。父がその近所の方のことを名指しで大声で叫ぶ理由にはこういったトラブルも原因の一つだったんだと分かりました。

それにしても父の発狂は本当に酷すぎます。その日夕方から外出している時に考えていたことですが、もしも父の精神病が治るという御守護をいただいたとしても父がそれ以上生き続けることは許されないんじゃないかなと思いました。父がとてつもなく恐ろしい精神病になって以来私も父に早く死んでほしいと思ったことは何度も何度もあります。私は父と親子ですし、父が精神病になる前の父の優しいところも知っているので心の底から詫びてくれれば父のことを許すことはできるかもしれません。ですが、父は一緒に住む家族だけではなく近所中を巻き込み、近所の方達に計り知れないほどの恐怖を与えてしまいました。そして、名前を出して大声で叫んでいた隣近所の方の怒りや苦痛を考えると、父のやったことは万死に値するほどの罪だと言えるんじゃないかと思います。人間が人の善悪を決めてはならないんですが、父のやってきたことはあまりにも酷すぎます。動物霊の操り人形だから仕方がないなんて言える問題ではありません。この最後の審判を私が無事に乗り越えることができたとしても父に待っているのは死なんじゃないかと思えます。父がとてつもなく恐ろしい精神病になってもう一年十ヶ月経ちました。この地獄のような苦しみが早く終わる日が来ることを今か今かと待ち続けている毎日です。