69「再び警察沙汰」 平成29年9月

九月二十四日、その日父はまた外で大発狂し、警察沙汰となってしまいました。その日の朝は父の機嫌は普段よりもだいぶよく、何の問題もなく父は日課の買い物に出かけて行きました。その日は日曜日で私も仕事が休みだったので、昼前には息子を連れて出かけました。夕方六時過ぎ、妹の家に行くと、妹に「たった今警察から電話がきた」と言われました。また父が外で大発狂して近所中に大迷惑をかけ、怖い思いをさせてしまったようでした。私はすぐ家に戻りました。家に着くと、家の前にパトカーが止まっていました。その時には父の発狂は収まり、父は居間でおとなしくテレビを見ていました。私が家の中に入るとすぐ警察官が二人私に話に来られました。その日警察官は通報を受け、二度も我が家に来られたそうです。私がいない間に父はいつものように昼間からビールを飲み、昼過ぎから外で大発狂し、近所の方や親戚の名前を大声で叫び、ありもしないめちゃくちゃな妄想でその人達に対する暴言を叫び続けたようです。

普段はもう父とは一切口も聞かないんですが、警察官が帰ったあとさすがに私も父に声をかけました。ですが、私が声をかけたことによりまた父は発狂してしまいました。声をかけなかったとしてもどっちみち父は発狂したとは思いますが警察が来るだけあってその日の父の発狂はものすごい勢いでした。また龍神が憑いたなと思いました。近所中に響き渡るぐらいのものすごい罵声を浴びせられながら家の中で追い回されました。いったん発狂が収まってもまたすぐに始まり、私の部屋の前に来て大声で怒鳴り出し、部屋の戸をものすごい勢いで開けてくるので私も自分の部屋に落ち着いていることもできず、父に捕まらないように家の中をぐるぐる逃げ回りました。その日はトータルで一時間以上家の中を逃げ回ったと思います。途中一度自分の部屋に戻っていた所に発狂する父に部屋の戸を開けられ唾もかけられました。そして、大声で怒鳴りながら私を追い回すその間にも父はわざとまた外に出て近所の方の名前を叫び、その方達を中傷するようなことを大声で叫びました。

私は父に心の底からうんざりし、父を蹴飛ばそうかと思いましたが、気持ちを切り替え、触りたくもない父の腕を引っ張り、家の中に引きずって入れました。精神病者が発狂する時はものすごい力を出すので本来は私の力ごときでは簡単に引っ張ることはできないんですが、思いの外簡単に家の中に引っ張ることができたのはその時の父の感情が寂しさや悲しさが表立ったもので、愛情に飢えた状態の構ってほしさの発狂だったため、父も私に引っ張られて嬉しかったのか本気で嫌がったりはしていませんでした。ですが、寂しさや悲しさから起こる発狂もすぐにまた怒りから起こる発狂へと変わります。そうなるとまた私への暴言の猛攻撃が始まります。悪魔の操り人形の父には本当にうんざりします。近所中に大迷惑をかけ恐怖を与えてしまったその日はさすがにもう父に早く首を吊って死んでほしいと思いました。