340「死神か怨霊か」 令和4年7月

七月一日になりました。昨日は夜息子を連れて彼の家に泊まりに行きました。息子が来年中学校に上がるため、そのタイミングで彼と結婚する予定で、中学校も彼が住む地域の中学校に通うことになるため、最近はずっとそのことで息子とも彼とも話し合いを続けてきました。そして、息子は小学一年生の時からずっと特別支援学級に在籍しており、中学校でも特別支援学級にするか、それとも通常学級を選ぶかということもずっと悩み、話し合ってきました。昨日は小学校の教育相談があり、担任の先生から息子について目で見たことはすぐに理解ができるけども耳で聞いたことは理解が難しいようだと話を聞きました。息子の普段の生活にしても確かにそうだと思いました。そして、息子は長期記憶が苦手のようで、授業で習ったことをその時には覚えることができても過去に習ったものはなかなか思い出すことができず、漢字や計算も過去に習った問題は間違えてしまうそうです。やらねばと思っていても普段なかなか息子への浄霊に取り組むことができず、息子は学校での勉強においても普段の生活においても耳で聞いたことへの理解が難しいまま日々を過ごしてきており、私がちゃんと息子への浄霊に取り組んでいればと後悔の念に駆られました。昨日はそういった息子の学校での様子のこともいろいろ彼に話しました。

そして、昨日は彼から指輪の話をされました。今度指輪のサイズを測りに行こうと言われました。彼は真剣に私との結婚を考えてくれています。ですが、昨日もまた彼の口からは恐ろしい発言が出ました。夜二人でビールを飲みながら話をしていた時に彼の昔の話を聞きました。彼は幼少期から数え切れないぐらい喧嘩をしてきています。彼の話を聞く限り彼は力が強いのでおそらくたくさんの人に酷い怪我を負わせたり骨折させたりしています。男の人は力が強いことや喧嘩が強いことを武勇として語る人が多いと思いますし、そういった人が好きな女の人も多いかもしれません。若い女の人は特にそうかもしれません。ですが、私は彼のそういった話を聞くたびにいつも凍りつきます。とんでもないことをしでかしてるなと思います。学校に行かずチンピラと関わっていた頃の話だったんだと思いますが、昨日彼は「ペンチで歯を抜いてやった」「いつもペンチを持ち歩いてた」と言いました。冗談でも笑えない恐ろしいセリフに驚き私が真顔で「本当にやったの?」と聞くと彼は「やってない」と答えました。彼はいつも冗談で大げさなことを言うので、その話が嘘なのか本当なのかは分かりませんでした。

そして、意を決し「人殺したりしてないよね?」と彼に聞きました。話の流れでは彼が喧嘩ばかりしてきた人なので「喧嘩で人を殺したりしてないよね?」という意味もありますが、今から一年三ヶ月前に彼が女の人を殺して肉を食べたという話をしてきたことに対しての「人殺したりしてないよね?」という意味合いも込めて聞きました。彼は数秒無言になりました。焦っているようにも見えました。「たくさん人を怪我させてるからさ」と私が言うと、彼も「殺したりはしていない」というようなことを言っていました。

そのあとベッドに入って喋っていた彼が「今喋りながら一瞬夢見てた。鎌で首切られそうだった」と言いました。私は「死神だ」と思いました。そのあとすぐ今度は少し慌てながら彼は「今男の人の声がした」と言いました。私が「どこから?」と聞くと彼は「外から」と答えました。ベッドの頭上の窓の外に耳を傾けましたが、何も聞こえてこず、「何も聞こえないよ」と彼を安心させるために彼の頭と腕を擦りながら言いました。そして、彼が眠りについたあと彼の隣で寝ながら彼の額に浄霊をしました。

鎌で首を切られると聞くと死神を想像します。私は浄霊をして死を回避させたいと思ったわけではありません。死神は死の迎えなので、それを止めることなんてできないことだと思っています。彼が人を殺したことがあるのかどうか本当のことは私には分かりません。ですが、彼が過去に何人もの人に怪我をさせてきたことは事実なんだと思います。彼に怨みを持つ人はたくさんいるだろうと思います。もしかすると鎌で彼の首を切ろうとしたのは死神ではなく、彼に怨みを持つ怨霊だったのかもしれません。ただ、彼は自分から喧嘩を仕掛けていたわけではなく、いつも相手の方から喧嘩を仕掛けてきたそうです。そして、相手が二度と喧嘩をふっかけてこなくさせるように痛みつけていたそうです。ですが、今の彼は決してそんなことをするような人間ではありません。

死神が現れたらたいていは数日後には死ぬんだと思います。彼が本当に死ぬのかは分かりません。ですが、彼がもし本当に人を殺したことがあるのなら彼は死神に連れて行かれるのかもしれません。